メンバー紹介

斉藤嘉子主任研究員 九州工業大学

一般社団法人行動評価システム研究所(BASラボ)主任研究員の斉藤嘉子です。
2015年BASラボ入所以来、研究所の運営全般管理、研究者間の調整や研究デザインを担当しております。
また研究現場での調査や測定に出向いて、直接測定に関わる機会も多くいただいています。

九州工業大学大学院生命体工学研究科生命体工学専攻博士後期課程に在籍、現在夏目研究室にて脳型動的情報システムの研究を専攻しています。夏目季代久教授のもとで脳科学・脳情報工学(脳科学基礎・生理心理学・ヒト高次機能の脳計測など)を、磯貝浩久教授のもとで行動認知心理学を学んでおります。

深さと広さ-BASラボ研究者の魅力-

「学術監修」「受託研究」を手がけるBASラボの一員として、この研究所の探求(研究)可能な領域の幅広さや深さをあらためて日々感じています。

そもそもBASラボは磯貝浩久教授を中心とした九州工業大学(北九州市若松区)の研究者たちの“研究で得られた知見をより多く社会に還元したい”という想いにより設立されました。この九州工業大学は工業大学でありながら、ロボット・AIといった研究を進めるにはヒトそのものをもっと探求しなければならない、という考え方・姿勢がたいへん魅力的な大学です。

一例を挙げますと、「スポーツ心理学」と「脳科学」は”ヒトにとある刺激を与えたらどんな反応があるのか“など、根本的に同じ事を探求することが多いのですが、それぞれアプローチが違います。

メンタル・感情といったものはで行われるものですが、スポーツ心理学は脳そのものを観察しているわけではないのでなぜそういう反応があったのかについてはブラックボックス=推察する対象です。脳科学は当然ながら脳そのものの観察が重視されます。この二つの学問が融合や協調することでさらに立体的で素晴らしい研究が可能になると感じております。実際、BASラボが手掛けているニューロトラッカーは認知機能の訓練に用いられていますが、私たちは心理学的なアプローチのほか、脳科学によりこの訓練中や前後の脳波などを測定する事が出来ます。

研究や検証で得られたデータは解析できなければ成果になりません。堀尾恵一教授の専門の一つであるデータ解析・可視化の手法により、これまでにない解析が可能となっており国際学会への発表も積極的に行われています。当社が開発したメントレアプリには自己組織化マップ(SOM:Self-Organizing Map)が搭載されていますが、おそらくアプリとしてはたいへん珍しいのではないでしょうか。

さらに田向権教授は脳型AIの研究開発で名高く、企業とのコラボレーションや受託研究において大きな業績を挙げておられます。BASラボの受託研究においてどのように企業に貢献できるか、素晴らしい知見やアドバイスをいただいています。

複数の専門分野が互いを補完し合い刺激し合うことで生まれる幅広さと深さ、これが私たちBASラボの最大の魅力ではないでしょうか。

喜ばれているという原動力

受託研究などでクライアントである企業の皆さんと協同したり、現場の調査や測定に立ち会いますと、研究やその成果を通じて人々や社会に喜ばれるシーンが多々あります。

企業の皆さんには、自社製品の優れた点を第三者機関に検証してもらいその有用性を社会に伝えたいという想いがあります(アカデミック・マーケティング)。皆さんたいへん真摯な姿勢で自社製品と向き合っていて、私たちの研究がそのお役に立てて喜ばれるという実感があり、とても嬉しいですね。

また、スポーツビジョン測定やニューロトラッカー研究ではトップアスリートやeスポーツ選手、高齢者など様々な人たちと触れ合う機会をいただいています。皆さんなにか明確な目標に向かっていたり、一生懸命だったり、真剣にご自身の状態を知りたがったりしていて、こうした出会いに感謝しています。

まさにBASラボ設立趣旨どおりで、研究成果を現場の人々にフィードバックして喜ばれている、という実感こそが私たちの原動力になっています。

人が育つ、人を育てる場所に

わたし自身、もともと生理学をはじめヒトに対する研究に強い興味がありました。

福岡大学体育学部運動生理学研究室に在籍していた際は、「スロージョギング」発案者として世界的に名高い故田中宏暁(ひろあき)教授の研究を目の当たりにし、それ以来いつか研究者の道を歩みたいと願っていました。

2015年からのBASラボでの研究業績が認められ九州工業大学大学院博士課程に入学できたことはたいへん感慨深いものがあります。研究を志していたわたしにとって、このように見出してくださった大学や関係する方々に感謝しております。

BASラボに関わる研究者の方々は、「研究」をキーワードに純粋に繋がる、きわめてフェアなお人柄ばかりです。このスタンスはあらゆる人種・経歴・性別・年齢を幅広く受け入れる度量と広い視野を持つ九州工業大学だからこそ培われたものだと感じています。

また磯貝浩久教授と共に拠点の一つとして移った九州産業大学は、広く産業界に貢献する人材を輩出したいという学風のもと、設備と環境が整っています。

わたしと同じように、いつか研究を。博士号を。と志す方は社会に多くいらっしゃると思います。

そこでBASラボでは今後、研究者を目指す人材育成にも力を入れていく方針です。研究者になりたい、博士号をとりたいと志している在野の人材、大学在学中の方、社会人として夢を抱えている方、プロ選手のセカンドキャリアなど、そういう人々の夢を叶えたい。

そういう人々が集う場所・育つ場所=BASラボ、になれたら…と考えています。